写真の基礎は視点にあり──俯瞰・正面・ななめで構図を極める
スマホカメラの性能が向上し、誰でも気軽に高品質な写真を撮れる時代になりました。しかし、何となく撮っているだけでは「なんだかパッとしない」「被写体が活きる写真にならない」と感じることも多いはず。その差を生む大きな要素の一つが“構図”です。
今回は、どんな被写体にも応用しやすい代表的な3つの視点── 「俯瞰」「正面」「少しななめ」 を、スマホで簡単に再現する方法を解説します。コツを押さえれば、いつもの撮影が驚くほど洗練された印象に変わります。
俯瞰(ふかん)──真上から見下ろす構図で情報を整理する

俯瞰は、料理写真やテーブルフォトでよく見られる構図。被写体全体を把握しやすく、整った印象に仕上がります。
ポイント1:真上にカメラを構える
俯瞰撮影では、スマホをできるだけ水平に構えることが重要です。少しでも傾くとゆがみが出やすいため、腕を伸ばして真上で構え、撮影前に画面のガイドラインを確認しましょう。テーブルなど被写体を置くものに対してスマホが水平になっているかを意識するだけで写真が安定します。
ポイント2:余白を味方にする
真上から撮ると、全体のバランスが整い、余白を活かしやすくなります。被写体を中央に置くのも良いですが、三分割法の交点に合わせると、よりプロっぽいバランスに。スマホの「グリッド表示」をオンにしておくと構図決めがスムーズです。
ポイント3:配置を最小限に整理
俯瞰は情報量が多く写りやすいため、被写体の周囲が散らかっていると雑然とした印象になります。写る範囲に置くものを絞り、形や色のバランスを意識すると洗練度が上がります。
ポイント4:自分の影に注意
特に室内では照明を背にする体勢になり、自分やスマホの影が目立ってしまうことがあります。そんなときは次のようなことを試してみましょう。
- より高い位置からカメラを構え、被写体との距離をとったうえでズームをする(ズームしすぎると画像が荒くなるので注意)
- デスクライトなどを活用して低い位置からも照明を当てて影を軽減する
正面──被写体の魅力をストレートに伝える構図

正面から撮ると、対象の形や印象がそのまま伝わり、視線が自然と被写体に集中します。人物・建物・静物など、幅広いシーンで使える構図です。
ポイント1:被写体と目線の高さを合わせる
特に人物や物撮りでは、被写体の中心とスマホのレンズの高さを揃えることで、自然でバランスの良い印象になります。下からあおると迫力は出ますが、被写体の形が歪んでしまいがちなので注意。
ポイント2:背景をシンプルに
正面構図は被写体の存在感が強い分、背景の情報が目立ちやすい特徴があります。背景に余計な物が入らないように、少し横に移動して見え方を調整したり、壁や布、影を活用してスッキリと見せるのがポイントです。
ポイント3:左右対称を意識する
正面ショットを“きれいに見せる”最大のコツが左右対称です。スマホのグリッドで中心線を確認し、被写体が正しく中央に来るよう調整すると、一気に印象が整います。
少しななめで──立体感と動きを生む構図

最後は「少しななめ」の視点。ほんの少し角度を変えるだけで、写真に奥行きが生まれ、正面や俯瞰とは異なる表情を引き出せます。
ポイント1:角度は10〜30度が目安
大きく斜めにするのではなく、わずかに角度をつけるのがポイント。この“少し”の角度が立体感を生み出し、自然な遠近感を演出してくれます。
ポイント2:光の方向を意識する
斜め構図は影が動きを強めるため、光の入り方が非常に重要です。自然光が横から入る位置に被写体を置くと、影が柔らかく立体感を生みます。逆に逆光になると暗くつぶれるため、スマホの露出補正を使って明るさを整えましょう。
ポイント3:奥行きを意識して小物を配置
少し斜めに撮る構図では、手前・中央・奥へと続く“奥行きのライン”を作ると印象が良くなります。例えば、手前に花、中央にコーヒー、奥に本、といった具合に高さや距離を意識して配置してみましょう。
3つの視点を意識するだけで写真が劇的に変わる
「俯瞰」「正面」「少しななめ」の3つの構図は、どれもスマホで再現しやすく、写真撮影のクオリティを一段階引き上げてくれる基本視点です。
大切なのは、撮影前に“どの視点で撮るか”を意識すること。構図の選択が明確になるだけで、写真の仕上がりは大きく変わります。今日の1枚から、この3つを意識して撮ってみてください。視点を変えるだけで、これまでの写真とは違う新しい世界がきっと見えてきます。



